奈良県五條市の養豚経営の6次産業化について学びました(地域マネジメント研究室×食品流通研究室)


食農ビジネス学科活動報告
UPDATE 2023-10-31

 10月11日に、奈良県五條市にある手づくりハム・ソーセージ工房「ばあく」を訪問し、ソーセージづくり体験、枝肉の切断・骨抜き・部分肉選別の工程を見学しました。

 代表の泉澤ちゑ子氏は、「食物アレルギー体質の子供のために安心して食べられる美味しいものを作りたい」という思いから、五條市で1983年5月に養豚農家と地域の女性が共同出資し「ばあく」を起業しました。現在はレストランと工房を経営し、レストランでは食物アレルギーを意識したメニューの提供、工房では添加物を使わない豚肉のハム、ソーセージなどの加工品の製造、販売を行っています。

 泉澤氏の家族が経営している泉澤農園は、約300頭の豚を飼育しており、黒豚にデュロックを交配することにより泉澤農園特有の品種の豚肉を作っています。また、野菜や小麦などを栽培しており、レストランと工房に提供しています。豚には農園で栽培した小麦の皮(ふすま)等を飼料として与えており、豚糞を使用した肥料を野菜に使う資源循環型農業に取り組んでいます。

 両研究室のゼミ生ら25人が、事前に野菜スープにつけ込んで塩や香辛料を合わせた豚肉を、羊腸に詰める作業を体験しました。詰め込んだソーセージが山桜のチップで燻煙され、ボイルで仕上げらている間に、豚の枝肉の切断・骨抜き・部分肉選別の様子を見学させていただきました。これもまた普段ではほとんど見られない貴重な現場です。泉澤家の男性陣による素早くかつ精確な作業っぷりに圧倒され、ゼミ生らもその様子から目が離れませんでした。また、直接色々なお話を伺うことができ、生の現場をあまり知らなかったゼミ生にとっては大変貴重な学びの場となりました。

 ランチタイムでは、自分たちが頑張って詰めたソーセージと、泉澤農園が栽培した野菜で作られたサラダを頬ばり、ご飯のおかわりが続出するほどでした。ランチの後に、泉澤ちゑ子氏にレクチャーをしていただきました。自分たちがどのような思いから6次産業化に取り組み始め、どのような課題があって、それに対してどのような工夫をしてきたかについて話してくださいました。改めて家族農業の大切さ、小規模経営ならではの柔軟さと強靭さについて考えさせられました。