2025年3月21日(月)に、農業生産学科の学生12名と佐野修司教授が、大阪府柏原市の「ディーセント・ファームかしわら」を訪問しました。
就農や農業生産現場で働くことを目指している学生に、直接現場を見て生産者の方からお話をおうかがいできるよう例年開催しているもので、今年度は学内の講義でゲストスピーカーもされている、同法人理事長の植田剛司さんのご厚意により実施できました。
当日は、農家の出身ではない植田さんが、大阪府職員として主に福祉部門と農業部門で勤務されたご経験から、農福連携事業に取り組むきっかけや想いそして法人設立までの紆余曲折について、また農業が単に食料の生産の場としての役割だけではなく、生きがいややりがいの場として人を元気にする役割の重要性についてお話しいただきました。 その後、周辺地域での主作物であるブドウ栽培ほ場をはじめ体験農園などの見学を行い、地域で問題となっている放置竹林の対策としての竹炭づくりにより、地域貢献を通じて農地土壌の改良や地球温暖化防止にも役立てていることや、災害時には防災農地として機能することなど、農地の多面的な活用についても説明をいただきました。また、臭いがほとんどなく微生物による処理がされるバイオトイレを設置するなど、利用者が不快な思いをすることなく利用できるような配慮についても学ぶことができました。 参加した学生からは、以下のような感想(一部抜粋して要約改変)が出て、学生たちは、今後の進路の決定や、就農において留意すべき点について、認識を深めることができたものと思われます。
「福祉と農業を組み合わせすることができるのは、驚きだった。」
「以前から農福連携に興味があり、実際の農福連携の現場を見る機会は初めてだったので、とても勉強になりました」
「障がいを持っている人が自立できるように支援しているところに感動した。これから先、自分の身内に障がいを持って就職に困っている人がいれば紹介したいなと思った」
「もし農業を始めるとすると、莫大な資金が必要になるが、様々な制度によって国からの補助金が出ることを知った。周りから反対されても勉強して収入を得るというのは非常に凄いと思った」
「農業は収量が多いほどいいと思っていたが、農業は人を豊かにする、可能性を広げる、防災土地として地域に貢献しているなど収量を得られる以外にさまざまな効果があることが特に印象に残った。そのため、収量を上げることで社会に貢献するだけではなく、農業を通して人を豊かにしたり新たな可能性を見出したりすることで社会に貢献していきたいと考えた」
「ブドウを大阪で作っていると聞いたことはあったけど、実際に見たり聞いたりするのは、はじめてで、とても難しいことだと思った。」
「ブドウは素人にとって育てることが難しい植物ということを知った。それでもめげずに農家を経営していた代表者さんが凄いと思った。」
「バイオトイレや木炭など環境に配慮する工夫なども多数施されていたところが印象に残りました。」
「バイオトイレは、バクテリアの働きによる無臭化といったメリットだけでなく、結果的に農業生産の好循環化にもつながっているのではないかと考えた。」
「農業と一言で言っても、いろんなやり方があるんだなと思い、これからもたくさんのことを見ていくことの大切さがわかった。」
【参考】
ディーセント・ファームかしわら:ディーセント・ワークとは、「全ての人のための生産的な仕事」を意味し、1999年のILO総会にて提唱され国際的に取り組んでいる働き方です。障がいのある方、ニート・引きこもりの人々などが農場に集い、ともに仕事をして、元気になり、経済的に自立できるように・・・ そのような思いを込めた〈ディーセント・ファーム かしわら〉です。
https://decent-kashiwara.com/
記事「持続可能な都市型の農福連携事業の仕組みをつくる重要性.ウェルおおさか, Vol154, 2025年2月号(大阪市社会福祉研修・情報センター)」
https://wel-osaka.com/johoshi/pdf/154.pdf



